おうちテント日記 8日目/コロナ禍の避難所

だいぶ落ち着いてきたようですが、COVID19によって 指定避難所の設営マニュアルが変化しました。従来まで、どの災害でも 3割前後の方が利用していた指定避難所(学校体育館)、今後は一人ずつが「避難所へ行かなくてもよいように」備える必要があるのではないでしょうか。


 1)100人中98人はキャパオーバー?!
 2)校舎は、罹患者・濃厚接触者・医療従事者が使用予定
 3)受付・本部設営には倍以上の時間がかかると思われる

 4)テントやパーテーションの備蓄は限られている


1)100人中98人はキャパオーバー?!

①指定避難所のキャパシティ

わたしの住む茅ヶ崎北口駅前は、地域の小学校、中学校が指定避難所で、いざにげ(避難行動)では 各800~1000人前後を収容、避難生活では、400人強×2ヶ所を収容予定でした。

「コロナ禍での密を避けて、ソーシャルディスタンスを…」という設営マニュアルに沿うならば、最終的に「避難生活時は 160名×2ヶ所」が理想となります。それに対して、この区域の人口は7万人あまりに推定帰宅困難者が7千人。


〔茅ヶ崎市駅前北口の想定被災者 7.7万人のうち〕

  避難行動時(いざにげ)⇒1300人/100人中1~2人キャパ
  避難生活(いざそと)⇒320人/1000人中4人キャパ


「いざにげ」でも、100人中98人は避難所へは入れない計算になりますから、本当に「危険区域」に該当する人や被災した人のための空間にしたいところです。そのためには、1人1人がハザードマップを確認し、災害時の対応について、家族で話し合っておく必要があります。

②家族内の「いざにげ」と「安否確認の方法」を確認する

地域で10年以上活動して、家庭内の意思を確認することが最も難しい気がします。

 「オレが〇〇だから、家族も〇〇だ(自分と同じに違いない)」

と思い込み、イザ!の時に 更なる惨事を招く例は少なくありません。

家族…といっても、それぞれ別の人間です。「いざ」の在り方、考え方、生き方は、それぞれ違います


乳幼児のご家庭の場合は、働き盛りのパパさんとママさんが一緒に避難できるとは限りません。お子さんが大きければ、それぞれの意思もあり、通学で自宅にいるとは限りません。子世代が既に60代…というご家庭の場合、ご高齢者が社会人と同じだけ動けるわけではありません。


家庭内でもリスペクトと意思の尊重が必要で、家庭内の「いざにげ」を統一するのは至難の業なのです。ですから、にげ先を統一するのではなく、互いの選択を尊重し、安否確認の方法だけ、しっかり決めておきましょう

互いに伝えるのが難しければ、トイレや冷蔵庫などに、メモを貼る方法でもOKです。


 台風の時には、どこへ行くのか。そこがキャパオーバーなら、次はどうするのか・・・


まずは、家庭内の防災が一歩目。共助やら、公助やらへの在り方検討は、そこが済んでからで充分です。


2)校舎は、罹患者・濃厚接触者・医療従事者が使用予定

①トイレ問題

従来までは、校舎のトイレを使うことができました。それでも、東日本大震災時には、トイレ不足で校舎のトイレだけで間に合わず、廊下で直接排泄した方もいたそうです。校舎のトイレを使えないとするなら、さらに深刻な事態だろうと思います。


地域で、時々 こんな質問を受けます。

うちは災害時トイレの水が流れないので、避難所の仮設トイレを利用していいですか

わたしの回答は、いつも同じです。

もちろん大丈夫ですよ、そのかわり7時間ほど並ぶことと、避難所でも水は流れませんから、臭いや感染上の課題などがあることをご理解くださいね。


②盲導犬・ペット問題

地方自治体によりますが、茅ヶ崎市の場合は コロナ禍避難所の盲導犬・ペット対応について、定まっていないようです。避難の際は、一度 ご確認を。

そうして、もしも 本稿をご覧いただいている中に、防災に関わっていらっしゃる方がおられましたら…盲導犬はペットではありません。ぜひ、同行避難できる空間を避難所へ…それから、ペットもご家族と共に生きています、かれらにも災害時の場をご一考ください。

3)設営に時間がかかるので、飲料、食事、トイレは持参する

①コロナ禍で設営の実施訓練ができていません…

避難所マニュアルは変更されたのですが、今のところ 密を避けて、訓練を延期または中止している地域が少なくないのではないでしょうか。防災訓練で、感染被害というのもおかしなものなので、訓練の延期や中止自体はよいのですが、地域担当者も設営の変更点について、理解している方は少ないようです。


いざにげが必要な方は、一度 地域防災担当者または防災対策課で ご確認を。また、コロナ禍の避難所設営について知りたい方は、災害時に活躍するJ-VOADのガイドラインがまとまっています。



②受付・本部設営には時間がかかります。

学校イベントでの本部受付を担当しましたが、保健所規定が多く、互いに初めてのことで、設営にとても時間がかかります。担当者も保健所も、行きつ戻りつの設置…避難所は、もっと時間がかかるだろうなぁ・・・と思うのです。


保健所も、地域担当者も、どちらも初めてながら必死です。避難所ご利用の際には、皆さまのご協力やご理解をいただければと思います。


③トイレ設営、炊き出し・配給は、本部設営のあと。


トイレ設営や炊き出し、配給は、基本的な設営が終わってからなので、少なくとも1日はできないだろうと考えます。避難直後の炊き出しや配給を期待する方もおられるようなのですが、これまで以上に、無理になります。


また、暴風雨の中での炊き出しは無理であること、支援物資は3日目以降(人命救助が優先です)であることを考えて、ご自身とご家族の食料は、多めに持っていきましょう。


4)テントやパーテーションの備蓄は限られている

①画像どおり「体育館いっぱい」のテントがあるわけではない

多くの市町村が、コロナの感染対応として「飛沫防止テント」を導入しています。昨年度、国の補助金が出たからなのですが…よく画像では、体育館いっぱいにテントが並んでいますね。けれども、画像にあるように、体育館いっぱいにテントやパーテーションの備蓄があるとは限りません


茅ヶ崎市の場合は 各避難所に パーテーションが10張前後、パーソナルテントは 2張前後となっています。おそらく PCR検査や本部受付、更衣室、授乳室…などに使用すると思っていいんでしょう。個人への対応までは 及ばない場合が少なくないので、不安な場合は担当課でご確認ください。


②プライベート保護、飛沫防止、保湿保温のためにマイテントを

プライベートを保ちたい、飛沫防止したい、保湿保温したい…という場合は、マイテントを用意しておきましょう。100円ショップで扱っているサンシェイドでもいいでしょう。

 感染予防については、まだデータがありませんが 少なくともプライベートは保てますし、乾燥しやすい時期は テント内にスプレーすることができます。また、空間(体育館の天井は高いために、ストーブでは温まりにくいのです)区切ることで、熱を温存してくれます。


通常のテントの場合は、フライシート(表側の幕)を外した状態にすると軽量化できます。

テントにしても、サンシェイドにしても、1人あたりの区画(2.1×2.1㎡)を守り、設置の際には、入口に お名前の提示をいたしましょう。

いざうち防災

宇田川えいこの「おうち防災」サイト。 イザ!(災害時)をおうちで過ごす「いざうち防災」

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