日本古典と感染症 byロバート・キャンベル
1.マニアック派の『防災本』
有隣堂でGETして久々に面白かったのです。
かねてより、わたしは江戸期の災害対策、とくに建築や設備などについて興味があり
よく探しています。この本には沢山の事例が出ているんですが…
「江戸期の地域防災『感染症対応:疱瘡』」をあげてみます。
2.江戸時代のステイホームと避難
「疱瘡」は「天然痘」のことなのですが(※古い時代では重たい皮膚病も含む)
「疱瘡遠慮」なんて言葉からして美しいし、感染症が「儀式」つまり、マニュアル化されているのがすごいではないですか。
しかも、共助から自助への切り替えが明確で、ITツールがない中で 情報収集・伝達をしているのがすごい!
□感染症全体への考え方
Step1)隣町に疱瘡の患者が出た(情報収集)【共助】
※本来、感染症は「邪気・鬼」だという認識、
中でも疱瘡は「外から運び込まれる」ものだと認識
Step2)邪気や鬼をもてなす準備=囃子や神楽【共助】
Step3)帰ってもらうようお願いする=戦わない【共助】
□疱瘡マニュアル
Step1)隣町に噂が出た【共助】
Step2)疱瘡絵、魔除けや呪符【自助】
※扉に貼ったり、水に流したり…疱瘡の症状や食事が書いてあったりもします。
Step3)「疱瘡遠慮」発動(ステイホーム)共助・自助
「疱瘡遠慮」を発動するのは「村の長」的存在
互いに訪ね合わず人との距離を保つ
危険個所(クラスター)などは人足を使って庄屋さんなどが伝達
Step4)「疱瘡除け」(避難)&「小屋がけ・小屋取立(仮設住居)」自助
疱瘡除け:家財を持って山小屋や隣の町など、それぞれの家族ごとに別の場所へ避難
小屋取立・小屋がけ:引きこもり用の小屋をつくること
3.自らルールをつくる「仲間」
クラスターやパンデミックを発生させないためのルールは、お上ではなく
同業者による「仲間」で定めていたのだそうです。
見世物小屋や花柳界、飲食店がクラスターを防ぎ自粛する一方で、
「薬屋」は混雑を防ぐべく受付をつくるほど…店主を「くそべえ」と呼んだ滑稽本も。
感染症はともかく、江戸期まで 木造家屋の密集している日本では、
火災にも、地震災害にも慣れていたので「復興」の指令が出るや否や、
大工や左官やさんなどが「復興チーム」をつくり、あっという間に直していくそうです。
作業を重ねるごとに効率化することに加え「住まいは元々再建していくもの」という感覚があるので、家主も 住まい上手になり、お上も「都市計画」が向上するんだとか。
共助が地域ネットワークと業者のネットワークとで複合的に築かれている…
市民が自ら 自発的な防災マニュアルを持っている、ということなんでしょうか。
それって、すごいなぁと感動しました。
0コメント